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「どういう事?意味が解んない。」
「俺、その、恋愛経験少ないから…文田に教わろうかなぁ、って。」
「だからそこの意味が分かんないんだって、なんであたしがそんな事しなきゃならないの?」
「文田にしかこんな事頼めないよ!お願い、お願いします!」
「いーやーだー。」
何であたしが、?
恋愛なんて、あたしが知りたいぐらいなのに。
『文田、ごめん。』
何であの人が謝ったのか、
何であの人があたしの前から姿を消したのか、とか……。
「…………あ、そうだ。文田!」
「何、あんな事やらないよ?」
「俺と付き合ってくれ!」
「はぁっ!?」
「付き合ったら、恋愛経験も出来るから、」
こいつ、本当に馬鹿なんじゃないの?
だからって普通告白なんかする?
「そーゆー理由で告白なんかしないで。」
「で、でも、」
「じゃああたし先教室行くね。」
「ま、待ってよ文田ぁっ!!」
後ろから太一の声がするけど、聞こえないフリをしてさっさと屋上を出た。
“そもそも、例え太一だとしてもあたしは誰かと付き合うとかそんなの考えてない。”
“あたしだって、聞きたいよ。”
太一にそう言ってやりたかった。
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