第一章

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 ギャーギャー騒ぐ美鈴とそれに呆れて何も言えない俺。  その様子は目立つため、自然周りにいる数人の生徒たちからの視線を浴びることになる。  その中でただ一人、縁だけは何事も無かったかのようにずっと歩みを進めていた。 「おい美鈴、俺はもう行くぞ。ついてくるならあまり騒ぐな」 「ブーブー! もう少し私に構ってくれてもいーじゃん!」 「…………」 「わ、わかったってば! 了解であります!」  ビシッと手を額の辺りに持っていき、軍人顔負けの綺麗な敬礼をする美鈴。わかってもらえればそれだけで良いのだが、行動が一つ多いのが痛い。  うん、やっぱり置いていこう。 「隊長、私の準備はすでに出来ているのであります。お早く出撃の準備を──って、待って下さい!!」 「俺はお前の隊長じゃないからな。文句を言われる筋合いは無い」 「ごめんって!! さっきまでのは軽いジョークだから、置いてかないでー!!」  喧しい美鈴を無視して俺は進んでいるため、当然ついてくる騒音は大行進の状態になる。おかげさまで周りの視線は再びこちらに向けられる。  さらに良いのか悪いのか……俺が声を掛けようとした少女は、早足で近付く俺の後ろにいる騒音の声に一瞬肩をビクンと震わせ、恐る恐るこちらを振り返った。
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