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ギャーギャー騒ぐ美鈴とそれに呆れて何も言えない俺。
その様子は目立つため、自然周りにいる数人の生徒たちからの視線を浴びることになる。
その中でただ一人、縁だけは何事も無かったかのようにずっと歩みを進めていた。
「おい美鈴、俺はもう行くぞ。ついてくるならあまり騒ぐな」
「ブーブー! もう少し私に構ってくれてもいーじゃん!」
「…………」
「わ、わかったってば! 了解であります!」
ビシッと手を額の辺りに持っていき、軍人顔負けの綺麗な敬礼をする美鈴。わかってもらえればそれだけで良いのだが、行動が一つ多いのが痛い。
うん、やっぱり置いていこう。
「隊長、私の準備はすでに出来ているのであります。お早く出撃の準備を──って、待って下さい!!」
「俺はお前の隊長じゃないからな。文句を言われる筋合いは無い」
「ごめんって!! さっきまでのは軽いジョークだから、置いてかないでー!!」
喧しい美鈴を無視して俺は進んでいるため、当然ついてくる騒音は大行進の状態になる。おかげさまで周りの視線は再びこちらに向けられる。
さらに良いのか悪いのか……俺が声を掛けようとした少女は、早足で近付く俺の後ろにいる騒音の声に一瞬肩をビクンと震わせ、恐る恐るこちらを振り返った。
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