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猫娘──こと、神田美鈴〈かんだ みすず〉はさっきまでの笑顔が一変、涙目になってこっちを睨み付けてくる。
「にゃ、にゃにするのさ~!!」
「お前が悪い。ホラ、HR始まるからとっとと戻れ」
厄介者払いをするように手で払う動作を見せる。
それを見た美鈴は「この傷の痛みは忘れぬ!」と言いながら自らの席に戻っていった。
どこの武士だ、って話だ。
「席着けー、HR始めるぞ」
中年の男性教師の一声で、皆次々と席に戻っていく。
その際に、周りからちらほらと視線を感じた。別に好意的なものじゃない。むしろ逆だ。
さらには「アイツ、また神田さんと仲良くしてたぜ」とか「ちょっと顔がいいからって調子乗りやがって」とか色々と批判的な声が聞こえてくる。
ったく、別に俺が望んでやってるわけじゃないのによ……。
理由は大方わかっている。クラスでも人気者の美鈴とのやり取りだろう。
だが、それだけじゃない。
──俺、山上猛〈やまがみたける〉は、クラスの邪魔者なのだ。
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