第一章

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 猫娘──こと、神田美鈴〈かんだ みすず〉はさっきまでの笑顔が一変、涙目になってこっちを睨み付けてくる。 「にゃ、にゃにするのさ~!!」 「お前が悪い。ホラ、HR始まるからとっとと戻れ」  厄介者払いをするように手で払う動作を見せる。  それを見た美鈴は「この傷の痛みは忘れぬ!」と言いながら自らの席に戻っていった。  どこの武士だ、って話だ。 「席着けー、HR始めるぞ」  中年の男性教師の一声で、皆次々と席に戻っていく。  その際に、周りからちらほらと視線を感じた。別に好意的なものじゃない。むしろ逆だ。  さらには「アイツ、また神田さんと仲良くしてたぜ」とか「ちょっと顔がいいからって調子乗りやがって」とか色々と批判的な声が聞こえてくる。  ったく、別に俺が望んでやってるわけじゃないのによ……。  理由は大方わかっている。クラスでも人気者の美鈴とのやり取りだろう。  だが、それだけじゃない。  ──俺、山上猛〈やまがみたける〉は、クラスの邪魔者なのだ。 .
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