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「今日は大事な話がある。うちのクラスに転校生だ」
そんな担任教師の一言で始まった今日のHR。
当然、男子も女子もこういう話は好きだろうから、教室には歓喜の声が上がってくるわけで。
対して、俺は特に何とも思っていない。
あまり人が多いのは好きじゃないし、何よりこの盛り上がりが嫌いだ。鬱陶しくてたまらない。
「んじゃ、まずは名前から……」
そう言って、黒板にお世辞にも綺麗とは言えない字を並べ始めた。
「おっしゃー、女子じゃん!」
「えー、最悪なんだけどー!!」
やがて二つに別れる声。
途中からどうでもよくなって窓の外に視線をやっていた俺だが、その様子からして転校生は女子なんだろう。
だが、それも俺には関係無い。クラスという組織に新しく一人加わるだけ。結局、自分とは大した関わりの無い単なる他人に過ぎない。
そう思うと、もう本当にどうでも良くなってきて、ほんのり暖かい朝の日差しに誘われて夢の世界に旅立つ──
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