きっかけ

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「よし。 じゃあ後は休んでる人を入れたら完璧だな。 明日の朝にでも席替えするか。 俺も早めに来るから、みんなも早めに来いよ。 遅刻するなよ。」 俺の頭の中は真っ白だった。 先生の言葉なんて何も入ってこない。 ただポカーンと口を開けていた。 でもいろんな想いが込み上げてきたんだ。 ずっと見ているだけだった。 しゃべりかけるなんて出来ない。 挨拶だって出来なかった。 この俺が…情けない。 俺達には共通点も無ければ、話すきっかけさえなかった。 今年初めて同じクラスになっただけ。 1年の時から知ってるわけじゃない。 それがこれからは隣同士だ。 これからは挨拶だって出来る。 しゃべりかけることだって。 多分最初から話してくれるなんて無理だろう。 だけど絶対あいつと友達になってやる。 俺とあいつとの間には少なくとも壁があるだろう。 だけど俺に越えられない壁なんてないんだ。 そして聞きたい。 どうして誰とも話さないのか。 どうしていつも下ばかり向いているのか。 どうしていつも何かに怯えているのか。 その答えを教えてくれたら少なくともキミのことわかる気がするんだ。 だから俺頑張ってみるよ。
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