プロローグ

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ベチン! といい音がしたよ。佐倉のビンタは。 第3者が見れば、俺が佐倉をビンタしているように見える。 男の力でのビンタは結構痛いわけで、叩かれた頬がヒリヒリしやがる。 なんて、思っていると。 「あれ?」「あら? ……いった」 まばたきをした一瞬で、俺と佐倉の中身が再び入れ替わる。 もちろん、俺が佐倉の体で受けたダメージはアイツが今受けている。 心の中でザマァ見ろと思ったが、口にはしなかった。 「どういうことなんだ?」 俺と佐倉がこんなことをしている間、電話をしていた先生がようやくこちらを振り向いた。 「あのクスリのことを聞いたわ。だいたい分かった」 俺と佐倉は顔を見合わせて、返事をすることはせず先生の顔に視線を戻す。 「言ったとおり、飲んだ2人は1メートル以上離れてはいけない。 もし離れたら、経験したとおり……精神が入れ替わってしまう。 もとに戻る方法は簡単。互いの体に触れればオーケーよ」 俺は佐倉にビンタされたから、もとに戻ったのか。 「んで、クスリの効果を消す方法は?」 「うん……それはね」
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