プロローグ

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「もし離れたら…………」 「離れたら……?」 風がビューっと吹いている。 たまにだが、そのあまりの強さに窓がガタガタと震える。 保健室内は静まり返っていて、俺のイスがキーキーと鳴る音くらいしか聞こえない。 今、保健室には俺と先生しかいないからな。当たり前と言えば当たり前だ。 俺と先生は向かい合いで座って、今も睨み合いを続けている。 「もし離れたら…………分かんない」 「はい!?」 テへっと子どもみたいに言う先生に、思わず聞き返す。 「聞くの忘れたのよね。でもいいじゃんか、残りを全部捨てちゃえばさ」 「いやいやいやいやいやいや」
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