88人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「もし離れたら…………」
「離れたら……?」
風がビューっと吹いている。
たまにだが、そのあまりの強さに窓がガタガタと震える。
保健室内は静まり返っていて、俺のイスがキーキーと鳴る音くらいしか聞こえない。
今、保健室には俺と先生しかいないからな。当たり前と言えば当たり前だ。
俺と先生は向かい合いで座って、今も睨み合いを続けている。
「もし離れたら…………分かんない」
「はい!?」
テへっと子どもみたいに言う先生に、思わず聞き返す。
「聞くの忘れたのよね。でもいいじゃんか、残りを全部捨てちゃえばさ」
「いやいやいやいやいやいや」
最初のコメントを投稿しよう!