88人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
「ちょっと君」
「……はい?」
佐倉は驚いて、普段からパッチリ開いている目をさらに見開いて先生を見る。
「保健室でもらったクスリを飲んだ?」
……飲んだか?
それとも飲んでないのか。
答えを聞く前に、俺も佐倉の席の前につく。
「あ、あんたさっきの……」
「「飲んだの? 飲んでないの?」」
焦りすぎているせいで、セリフがまるまる被って、しかもハモった。
「飲んだわよ。やっぱり風邪薬って苦いね……」
飲んだわよ……飲んだわよ……飲んだわよ……。
佐倉の言葉が、まんまリピートされる。
「せ……先生」
「えぇ……恐れていたことが起きてしまったわ」
佐倉は何のことか分からず、目の前でアタフタする俺たちを見ている。
「なになに? なんなの?」
最初のコメントを投稿しよう!