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「ふんふんふふ~ん」
ここはまだ卯の刻にもなっていない永遠亭である。
普段ならば、まだ一部の早起きなウサギが叱られないように静かにしているだけなので、何も聞こえない筈である。
しかし、今日はそうでは無かった。
厨房から楽しそうな声と味噌が焼ける香ばしい匂いと音が聞こえる。
その声の主は鈴仙・優曇華院・イナバと言う名の妖怪兎であり、彼女の前には葛の蔓で作られた小さめの籠がある。
その中には、海苔が巻かれたおにぎりと、巻かれていないおにぎりがそれぞれ二個ずつ入っている。
そして、彼女は今おにぎりに味噌を塗った物を網で焼き、焼きおにぎりを作っている様子である。
「よし、出来た
あとは、これを詰めてっと……かんせいー!」
作った焼きおにぎりを籠に詰め、嬉しそうな声をあげる鈴仙
「うん!きっと喜んでくれるよね
あの人も楽しみにしてたし、前もおいしいって言ってくれたし
早く起きすぎちゃったからお弁当作ってたけどまだ卯の刻の前かぁ……
うぅ~……待ちきれないよぉ~……」
どうやら、今日はデートの様子だが、楽しみにしすぎて早く起きすぎてしまった様子。
お弁当も作り終えてしまったし、ソワソワして約束の時間まで待ちきれない事が一目瞭然である。
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