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巡回は10分程度で終わってしまった。
景品を補充しなければいけないゲーム機も特になく、お客に呼び止められることもなかった。
店内には少女の他に、買い物帰りの親子と小学生くらいの男の子が2人、大学生のグループが1組だけだった。
とりあえず、営業スマイルで「いらっしゃいませ」と声を掛け、店員がちゃんと見てますよ、とアピールをして回ったくらいだ。
まあ、防犯・不正対策なのでこれも立派な仕事だと、浅月は思っている。
巡回を終えカウンターへ戻ると、出勤したときにはなかった段ボール箱が6個も積まれていた。
その横には、包装用のビニール袋とモールの束、プラスチックのリングが入ったカゴが置いてあった。
「店長め…」
どうやら、休憩前に店長が用意していったらしい。
カゴの中には、ビニール袋とモール、リングの他に指示の書いてあるメモが入っていた。
『浅月さんへ
ストックもうないから、お菓子のアソート作っといて。アソート内容はいつもので。
週末分もよろしく!』
お菓子のアソートとは、UFOキャッチャーなどの景品用に、市販のお菓子やゲーム景品限定のお菓子を詰め合わせにしたものだ。
普通にビニール袋に詰めるだけでなく、GETしやすいように封をするときにプラスチックのリングを付ける。
これが結構めんどくさい。
浅月はしぶしぶ作業に取り掛かった。
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