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「それで!?」
中々、核心に触れようとしないアスマの態度に、紅の引きつった笑顔が怒りを滲ませ始めていた
「あぁーー、じゃあ紅よぉ、お前から見て、カカシって、どーゆー奴に見えるか?」
煙草に火を点けながらアスマは聞いた
「カカシ!?」
「そぉーねぇー、時間にルーズで、だらしなくで、無頓着、神経質で、人見知りが激しい癖に、寂しがり屋、ひねくれていて、で…」
(カカシが寝てて良かったな……流石に、ちと同情するぜ…)
「仲間を絶対に大切にする! こんなもんかしら?」
かなり正直にストレートな答えだった
「まっ!今のカカシは、そんなモンだな」
「今の? じゃあ、前は違うって事?」
「ほれっ! 十数年前の出来事があっただろ?あの…」
「今回の、カカシが先生に成らなきゃならない理由に関係してる、アレね……」
紅の顔にも、陰りが出た
「あの時、カカシは当時一番心を許していた師匠を持って行かれちまったんだ、あの化け物に…」
短くなった煙草を、グリグリと灰皿に押し付けた
「それまでのカカシは、色々あって、やっとマトモになり始めたばかりの頃でな…」
カカシの子供時代がかなり恵まれて無かった事は、紅の耳にも、断片的に入ってきていた
「暗部に上がる前のコイツは、かなり無茶苦茶だった…」
アスマが、新しい煙草を口に加えて、火を探していると、紅が横から、スッと差し出してきた
スマンと目で返事をし、大きく煙を吐き出し、アスマは続けた…
「仲間を大切にする教えは、その師匠から受け継いだモンだ…カカシはその師匠に出会う前までは、個人主義とゆーか、仲間とか、全く考えてない奴だったらしい…」
「らしい?」
「あぁ、流石にその辺りは俺も出会う前だからな…」
指から立ち上る、煙草の煙をぼんやりと追いかけながら呟いた
「立ち直りかけた時、今度はアノ出来事だ…いくら天才と詠われても当時、6・7才の子供にとっちゃかなり酷な事だ…」
いつになく、真面目な口調のアスマに、紅は寄り添う寄り添う様に聞いていた
「大切なモンを次から次へと無くして、コイツは生きる事の執着心が全く無くなっていっちまった…」
「そして、暗部に移動願いを出していたんだ…」
アスマの手から、ポトリと只燃えた煙草の灰が落ちた
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