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「……つっ!………久しぶりにドジっちゃったかな…」
左の肩口から止まる事無く流れ落ちる赤い物を見ながら、その男は呟いた
「あ~他の奴らどこまで行っちゃってんだ~」
普段は滅多と人に頼らない、当てにしないこの男が珍しく口にした言葉。
それも其のはず、この男の怪我は普通だったら死んでいても可笑しくない程の重傷なのだ。
普通だったら…
普通じゃない男の名は…
『はたけカカシ』
他の国のビンゴブックにはSSrankに位置付けされており、コピー忍者・写輪眼のカカシと聞けば、里内外で知らぬ忍は居ない程の人物だ。
ちょっと前までは、木の葉の里の忍でもエリート中のエリート、暗部所属で仲間内からも鬼気として羨望の眼差しで見られていた。
180㎝を越えるスラリとした長身、見事なまでの銀髪、左目には赤々と写輪眼が揺らいでいる。
暗部を抜けた今でも左目を隠す様に額あてを掛け、目元近くまで口布で覆い、辛うじて見える右目は起きだちの様にボンヤリとしていた
「鈍ちゃったかな~」
少し不貞腐れ気味で、額宛てをずらし左目を隠しながらボヤいた。
彼は今、暗部を抜け、来期から駆け出しの下忍の担当教師の任に就く事が決まっていた。
まだ危険な任務には就いてはいたが暗部時代に比べるには簡単(仲間の前で言ったら拳骨くらった)な任務の連続にあの頃の感覚とはちょっと違った物があった。
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