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(今、何時位だろ?)
時計を持たないカカシは、夜空を見上げた
山奥にある、隠れ里の、木の葉の里は、満天の星空と、ほぼ満月に近い月灯りに照らされていた
月の位置からして、1時を回った辺りだろうと、カカシは思った
明後日から、下忍の相手をしなきゃならない
思い出すと足取りが重くなる
(郭にでも行って、気分転換しよーかなぁ)
そんな事を考えながら歩いていたら、いつの間にか、月が厚い雲に覆われて、辺りは真っ暗闇だった
だが、忍にとって灯り等は、在っても無くても、差して変わりは無い
カカシクラスにもなれば、目を瞑ってでも、この辺は走り抜けれる
ゆっくりと、少し呆けながら歩いていると、どこからか、子供とカカシと、同じ位の男の声が、聞こえてきた
「じゃあ、先生! おやすみだってばよっ!!」
(子供の癖に、こんな時間に元気な奴…)
「おうっ!ナルトっ!腹出して寝るなよっ!」
(え!? ナルト!?)
思わず、以外な場面で聞こえた名前に、カカシはギョッとした
『ナルト』
そう、今度カカシ担当する下忍の一人、『器』である
どこからだ?と、前方の闇を見つめると、横の小路から、黒い塊が飛び出してきた
「うわぁ!」
「うぉ!」
ドンッ!!!
ドスンッ!!!
塊は、さっき聞こえた声の男の方らしい
普段のカカシであったら、100%ぶつかったりする筈もない
だが、今日は珍しく深酒の上、あの名前に驚いて焦っていたのか、近づいて来たこの男に気が付かなかった
カカシは、受け身こそは取ったが、尻餅を着いてしまっていた
(俺が、尻餅付くなんて、あの時以来か?)
と、あの少年の事を思い出してしまった
ヤレヤレと立ち上がろうとしたら
「申し訳ございませんっ!!前をちゃんと見ていなくて、すみませんでした!!」
と、その男は頭が膝に着くんじゃないかとばかりに、体を曲げ深々とお辞儀をして謝っていた
(この様子だと、中忍か?)
中忍以上になると着用が許可されるベストを着てはいたが、自分に対す下手の態度に、下なんだと確信し
(上忍が中忍に転ばせられるなんて…情けな…)
と、尚更落ち込んだ
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