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(あれ?ここ何処だっけ?)
ぼんやりと意識が戻って視界に入って来たのは、真っ白部屋だった
アスマはカカシを負ぶって里まで帰還し、病院にほたり込み、さっさと帰ったのだった
(ここに寝てるのも久しぶりだなぁ~)
懐かしい感じがあるが所詮病院、あまり来たい所ではないのが事実だ。
廊下を歩く看護婦らしき足音と、窓の外から聞こえて来る風が揺らす木々の音を聞きながら
(取り敢えず寝ますかね…)
と、久しぶりの休息を楽しむ事にしてカカシはゆっくり瞼を閉じていた
夢を見た
幼い頃から危険な任務が多く、熟睡する事や、夢など滅多と見ないカカシだったが、この日は昔の夢を見ていた
子供の頃、8才頃
とは言ってもカカシは既に上忍で、もうすぐ暗部に上がろうかとしていた
暗部に上がれば厳しい制約が今以上になる、子供らしいとは言えぬ子供時代を過ごして来たカカシを三代目火影が3日間のつかの間の休息を与えたのだった
「ようっ!カカシ!何処に行くんだ?」
振り向くとアスマが居た
まだ髭も煙草もなく、それでもカカシと3つ4つしか変わらない筈のこの男は成人男性並みの男らしさを醸し出していた
「ちょっと…」
カカシは、そう一言だけ言うとスタスタ歩き出した
アスマはカカシより大分遅れて上忍になった
それでも周りの忍からするとかなり早いペースだったのだが、天才と言われてるカカシから見ればまだまだ駆け出しの上忍に過ぎなかった
この頃のカカシは抜き身の刀身みたいに鋭く張り詰めた存在だったため、余程の用事でも無ければ周囲は声すら掛ける事も憚った
そんな中の例外がアスマだった
豪快で裏表がなく、面倒臭がりの癖に結局世話をしている
面と向かって
「俺に構うと早死にするよ?」
と、言った事もあるが、背中を軽くとは言えない勢いで、バンッ!と叩かれ
「そんなにヤワじゃねーよ!」
と、ニヤリと笑ったのだった
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