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カカシとイルカと別れた二人は、別の店で飲み直していた
「あのね…」
「あのなぁ…」
二人同時に声を出した
「アスマからどうぞ」
「いや、おめーから言えよ…」
暫く沈黙が続いた
「あー!辛気くさいの大嫌いなのよねー!」
場の雰囲気に耐えられなくなり紅が喋りだした
「今日イルカ先生を見てて思ったんだけど…」
次の言葉は二人同時だった
「イルカ先生、カカシの好みにハマりすぎてない? ねえか?」
二人は顔を見合わせた
「紅、オメーもそう感じたか?」
「ええ…カカシなんて警戒心丸出しで、いつもの余裕な態度は微塵も無かったし…」
「ありゃ、そーとー惚れてるなぁ~」
銜えた煙草をユラユラしながら、喉の奥でクックッと笑った
「今まで知ってる中でも、信じられない位執着しちゃってたわね」
紅は顔を曇らせた
「何かあんのか?」
いつに増して考えてる紅にアスマは聞いた
「危ないとね…思っちゃったのよ」
小さな溜め息混じりに言う
「危ない?何が?」
意図が掴めないアスマは短くなった煙草を消しながらグラスに手をかけた
「あの、中忍君に何かあったら、カカシ壊れるわよ」
「あーー?かもな…」
「イルカ先生が只の一般人だったら良かったけど、彼もやっぱり忍よ。ましてや一応、中忍。任務で何かないとは限らないでしょ?」
(確かに、甘チャンでも中忍だからなぁ)
何気に失礼な二人だがイルカとカカシを心配しているのには変わりない
「あんなカカシ見るのは初めてだから大丈夫かな?って思っちゃうのよね…」
本気で仲間を心配する紅に
(いーオンナだよ、オメーは…)
惚れた相手がコイツで良かったとアスマは心から思った
(でも、カカシがゾッコンな相手が男って所はいいのか?)
お互いのズレた心配事に口角がヒクヒク笑うアスマだった
紅とアスマの心配事は後に現実となって、二人が振り回されるとは、露知らず、カカシを肴に飲み明かすのだった
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