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そんな上忍二人の心配をよそに、カカシはイッパイイッパイの自分の理性を保つので必死だった
自分の気持ちをイルカ先生に伝えたい
でも、拒まれたらあの大好きな笑顔が二度と見れなくなる可能性もある
だったら、ナルトの担任として、上の忍として今の関係のままで居た方がいいかも
頭の中の自問自答で半ばパニックになっていた
「……ですね」
イルカが何か話し掛けてきていた事に漸く反応した
「は!?えっ?何がですか?」
酔ってると勘違いしているイルカはカカシの態度にクスクス笑いながら
「だから、カカシ先生だったら相手を探すより、よりどりみどりの中から選ぶ方が大変ですよね」
お茶を入れながら、悪気なく聞くイルカに、カカシは頭から冷水を浴びせられた気がした
イルカから見てカカシはそーゆーオトコに見える事や、やっぱり自分の好意は微塵にも感じてもらえてなかった現実を突きつけられて不意に泣きたい気持ちになった
平静を装いながら
「イルカ先生は好きなお相手居るんですか?」
「え!?オレですか!?」
鼻の傷をポリポリ掻きながらボソッと一言
「気になる人は居るのですが…」
その一言にカカシは頭を鈍器で殴られた様な衝撃に見舞われた
「でも、ちょっと無理な相手かな?…」
このセリフはカカシの耳には届いてなかった
イルカの気になる人
それは今目の前に居る
まるで雛に対する刷り込みの様なカカシの行動はイルカの心に少しずつだが染み込んでいた
だが、カカシが恋心で居るとは全く想像してないイルカは、自分の気持ちはカカシにとって迷惑なモノとしかないと思い込んでしまっていた
今夜自分の家に誘ったのは、この謎の多いオトコの事を少しでも知りたいと思っての行動だった
さっきの質問も今のカカシに彼女や想い人がいないか回りくどく聞いた事だった
恋は盲目とゆーか、肝心のイルカの心の変化に気づかないカカシは、イルカの告白めいた言葉を聞き逃してしまった
それどころか、カカシの中には、イルカを誰かに取られる様な感覚と、誰にも渡したくない独占欲がイッパイにした
「帰ります…」
このまま、ここにいたらイルカに何をするか解らない自分を押さえる為、玄関に向かった
イキナリ立ち上がったカカシに自分が何か不快にさせたんだとイルカは思わずカカシの腕を掴んでいた
「オレが何か気分悪くする事言いましたか?」
プツンと何かが弾く音がカカシの頭の中に響いた
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