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モゾモゾとイルカを探して身じろぐ
カカシの腕の中に居るはずのイルカの姿がない
例え自宅のベットでもカカシは熟睡する事は今まで一度も無かった
窓の外に飛ぶ鳥の羽音ですら目が覚める
そんなカカシの腕の中からイルカの姿がない
一瞬、昨日の事が夢だったのでは無いかと思った
余にイルカを欲する為に見た夢・・・
だが身体に残っている名残は昨日の事が夢では無い事を物語っている
自分が気配で目覚めない事はないと思っていたカカシが考えたのは、賊の侵入
「っ!!!」
布団を跳ね上げて寝室の扉に手を掛た
いつもの冷静なカカシは微塵にも窺わせない
(オレでも出し抜かれたのならジジィの所じゃないと駄目か・・・)
嫌な妄想が瞬く間に頭の中を駆け巡る
力任せに扉を引くと同時に部屋に黒い塊が転がり込んだ
「うわぁ~!」
「え??イルカ先生?」
「おはよう・・ございます・・・」
腰に手を充てながら少し与太つきながら立ち上がるイルカが眼下に居る
「あの...何処に?...」
状況がイマイチ飲み込めずカカシは呆けていた
目の前のイルカは、風呂にでも入った様で湿った髪を軽く結わい首からはタオルをぶら下げ、何とカカシのパジャマの上だけを着けた、まるでイチャパラに出で来る様な格好をしている
「すみません。お風呂をお借りしました。何度かカカシ先生起こしたのですけど…余に気持ち良さそうに眠っていたので…」
(何度か起こした?気持ち良さそうに寝てた??)
(嘘でしょ?)
今までに無い経験に驚きもしたが納得もした
(やっぱりオレが還る場所はイルカ先生だ…)
不意に涙が溢れそうだった
「カカシ先生?」
俯いたカカシにイルカがおずおずと声を掛ける
「イルカ先生…もしかして誘ってます?」
「誘う?」
「だってその格好。まるで新婚さんのイチャパラみたいじゃないですかぁ」
カカシにパジャマを指指され、漸く言ってる意味を理解した
顔を真っ赤にしながら
「誘ってる訳じゃありませんっ?タオル巻いただけじゃ恥ずかしいし…」
モゴモゴと言いながら俯く
流れ落ちた髪から見えた項は紅くそまり、ついさっきまで腹の底から冷えて居た筈のカカシの身体は既に火照り始めている
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