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やることもないので目を閉じた。もちろん眠気なんぞ一切無い。
視覚をなくしただけで他の感覚が鋭敏化する。怪しげな足音がすればそこでbadendを迎えればいいし、人の足音がすればそいつから町の場所なり教えてもらってそこで自殺の方法なりを探ればいい。
そんなこんなで探りをいれているが、世の中そこまで甘くはなく足音どころか物音一つとしてしなかった。
「やっぱりそんなに上手くいかないか」
諦めて目を開けると、目の前を真っ黒な球体上の物体が通り抜けていった。
「………え?、何あれ?」
驚愕より唖然とした。目の前の光景に頭がついていかない。
あれは何だろうか、数秒後にたどり着いたのは、百人中半分ぐらいが同じことを思うような疑問。
生物かどうかもわからない球体に湧き上がる好奇心をそのままぶつけるように駆け出した。
捨てようと思えば簡単に捨てられる命しか持ち合わせていない分、結構な無茶ができる。
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