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美琴達と別れた無音と妖夢は一度白玉桜に戻ってきた。何故か幽々子はいなかった。出掛けたようだ。
「さて、現在決まっているヒロインは魂魄妖夢、聖白蓮、封獣ぬえか……」
「あの、拒否権は……?」
「もう少しヒロインが欲しいね。」
妖夢の声をスルーして無音が頭を捻る。それは大した問題ではなかった。
何故なら二人とも、もっと大きな問題をスルーしているのだから。
「あの、無音さん……」
「しっ、気付かないフリをするんだ。アレはその辺りを漂っている幽霊と同じと考えておこう。」
「いえ、ですが……」
「気付いたら離れなくなるんだよ。」
柱の影からジッと様子を窺っている鈴鹿を二人はスルーし続ける。
二人は分かっていた。あの病的なブラコンの鈴鹿はヒロインに立候補しているのだ、そして最終的には他のヒロインを消すつもりなのだ。
そんな狂った愛情に関わりたくないと思った二人はスルーする事に決めた。
五寸釘が柱を削る音が部屋に響いた。
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