205人が本棚に入れています
本棚に追加
かつて暗殺者として活躍し、命を落とした後は死神として働いている椎の母親、十条美琴。彼女はその日、仕事が休みだった。
(どうしたものかな?)
普段の美琴ならば、椎に会いに行っていただろう。しかし最近の椎は幻想郷の賢者としての修業に忙しいので、会いにいくのは控えるようにしていた。
しかし、だからこそ美琴は困ってしまったのだ。美琴は仕事人間だった。なので趣味と呼べるものがないのだ。
(何か趣味を持つべきだろうか?しかし、何を趣味にすれば……)
三途の川岸、大きな岩に寄りかかって空を見上げる。ぼんやりと空を見上げて思い浮かぶのは我が子の顔。
自分は親バカだったのかと少し自嘲していたが、不意に物音に気付いた。
(…………後ろ?)
振り返った先には、一匹のウサギがいた。永遠亭の妖怪ウサギ、鈴仙だった。
鈴仙は時計を見ながら走っていた。何やら焦っているようだ。
「急がないと急がないと!!」
鈴仙がそう言いながら走っていく。
最初のコメントを投稿しよう!