253人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
ぶち当たる、といった勢いでどんどん流れ込んでくる水は、わたしの胃と肺をあっという間にいっぱいにした。
わたしは必死にもがいた。
が、サツキの唇はまるで蟻地獄の如く、もがけばもがくほど強くわたしの唇に吸い付いてきた。
──死ぬ。
本気でそう思った。
遠ざかる意識の中、白いもやのかかるわたしの視界には、サツキの剥き出しの血走った眼がゆらゆら揺れていて……。
やがて眼の前が真っ暗になった。
最初のコメントを投稿しよう!