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その日、わたしはひとり、自宅から程近い海岸沿いを歩いていた。 時々散歩する、わたしの好きな場所。 そしてなにより、大切な場所。 穏やかに吹く風は磯の香りが強くて、波は静かに満ちていた。 夜空の月が海にも映っていて、上下対称のそれは、まるで合わせ鏡でも見ているかのようで、不思議な気分だった。
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