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わたしはその二つの月に吸い寄せられるように砂浜におりていた。 もっと近くで見てみたい、と思ったのは間違いないが、もしかしたら足が月の引力にでも引っ張られたのかもしれない。 砂浜はクリーム色で、さらさらとした感触だった。 わたしは波打ち際まで進み、そこで足をとめた。 それからしばらくの間、月を眺めていた。 空と海との月をただ眺めていた。 別にロマンチストなわけではない。 黄昏ていたのかもしれないけど、よく憶えていない。
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