1人が本棚に入れています
本棚に追加
「どちら様で御座いましょうか?」
老婆はしゃがれた声で男に尋ねた。
「私はアランソン公ジャン2世。フランス王国の騎士だ。」
男はフードを脱ぎ、老婆の問いにそう答えた。その髪は肩の辺りまで垂れており、上唇に蓄えられた髭はアランソン公爵家の当主に相応しい上品なものであった。
「そなたの名は?」
老婆の問いに答えたアランソン公は返す刀で老婆に尋ねた。
「私はペリーヌ・マルタンと申します。この城の給仕係を任されております。」
老婆──ペリーヌ・マルタンは彼の問いにそう答えた。
最初のコメントを投稿しよう!