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「して、アランソンの公爵様が御主人様に何の御用で御座いましょうか?」
ペリーヌ・マルタンは名乗り終えるとアランソン公に用件を尋ねた。
「ジル・ド・レ男爵に大事な話があるのだ。取り急ぎ面会を願いたい。」
アランソン公は老婆にそう告げた。
「御主人様は只今御取り込み中に御座います。どうか御引き取り下さい。」
突然背後で声がした。
アランソン公が振り返ると、一体どうやって気付かれずに来たものか、彼の背面のすぐ傍には20代前半くらいの青年が1人立っていた。
「だ、誰だ、貴様は?」
アランソン公は謎の青年の出現に面食らいながらも青年にそう問うた。
「申し遅れました。私はレ家の執事を務めておりますエティエンヌ・コリオーと申します。家中ではポワトーの名で通っております故どうぞそうお呼び下さい。」
ややふくよかな感じのする青年はアランソン公に対して自己紹介をした。
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