光の国

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ドラゴンの背に乗りながら 国を見下ろす。 意外と高いので、 眼下の景色は航空写真のようだ。 「こんな高いところ来たの 久しぶりだよ」 フェアリーは空を飛べるはずだが ドラゴンに乗っていた。 最初はドラゴンも 文句を言っていたものの、 フェアリーの「差別」発言に 口をつぐんでしまった。 というか、それを言うなら 不本意に乗られるドラゴンだって 被差別じゃないかと思うのは 僕だけなんだろうか。 つくづく可哀想な人だ。 ……人という表現で いいかどうかは知らないけど。 「ほら、ヒューマン! あれが市場だよ」 フェアリーが指差す方を 身を乗り出して見る。 確かに市場だ。 大きな籠に盛られた果物が ここからでも見える。 彩りが綺麗だ。 「ちゃんと掴まってろよ。 落ちても知らねぇぞ、 ったく……」 ドラゴンが言う。 それを聞いて 翼の付け根にある 細い角を掴み直した。 「大丈夫だよー。 今度お買い物来ようね!」 「う、うん。分かった」 気楽に返事をしたフェアリーの 元気さに圧倒されながら頷いた。
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