光の国の城

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「相変わらず、でっけぇ城だな」 ドラゴンが城を見上げる。 同じように見上げると、首が嫌な音を立てた。 「(痛い)」 「お城の扉はあっちね。……あれ。誰かいる!」 フェアリーが指差した先には、扉からこちらに向かう人影。 薄緑の髪をした若い男のようだ。手には彼の身の丈ほどもある杖を握っている。 「エルフ」 ドラゴンが呟いた。 「エルフ?」 「不老不死で、永遠の叡智と美貌を持つ幻獣だよ。 エルフもわたしと同じで、二足歩行型なの」 そう話している内に、エルフが近付いてくる。正確には、横を通り過ぎようとしていた。 「よお、エルフ」 彼が通り過ぎた後、ドラゴンが声をかける。それに、エルフの尖った耳がぴくんと反応した。 「……久しぶりですね」 彼が振り返る。 右目を覆うセミロングの髪。 冷たい表情が印象的だった。 「(ちょっと怖いな)」 ドラゴンとはまた違う、「近付きがたい」という怖さ。なまじ顔が整っているだけに割増で怖い。
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