光の国の城

3/19
前へ
/74ページ
次へ
「……また交渉したのか?」 ドラゴンが躊躇いがちに問う。 交渉?エルフは光の国相手に何かを求めているのか? 「諦めるわけにはいきませんから」 そう答えたエルフの目は強い光を宿していた。強い意志の光。何かに執着する光。 「居場所はわかってんのか?」 「……まだです」 僕の知らないところで話が進んでいく。 居場所ということは、誰か幻獣を捜しているのか? 「居場所がわかんなきゃ…」 「それを捜してくれと国に頼んでるんですよ!」 エルフが声を荒げる。 思わず肩が跳ねた。 「……ッ」 険しい顔をしたエルフがその場を立ち去る。次こそは、ドラゴンも声をかけられない。 心配そうなフェアリーが手を伸ばしかけるが、引っ込めてしまった。 「ふーっ」 ぎすぎすとした空気を払拭するかのように、ドラゴンが息を吐いた。 「行くぜ、お前ら。 エルフのことはまたいつか、な」 踵を返し、城に向かって歩き出す。それを追うようにヒューマンとフェアリーも駆け出した。 「はっはー。新しい子来た!」 城の最上、屋根の尖端から、赤い長髪に赤と黄色の服を纏った男が、 飛び降りた。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加