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バルコニー。
羽根を消したフェニックスが部屋につながるガラス張りの扉を開ける。
中に入ると、毛の長い絨毯が二人を迎え入れた。
「ここは土足は……」
「構わん。そのまま来い」
手招きをするフェニックスを追いかける。
奥へ奥へと進むと、カーテンに隠れるように木製の扉が現れた。
「開けるか?」
「え?」
「滅多に触れない秘密の、秘密の扉だ。
貴重な体験だぞ」
「…。じゃあ」
ドアノブに手をかける。
ガチャッ
「…………」
ガチャガチャッ
「あっ、ごめん。鍵開けてないや」
「……(イラッ」
フェニックスが腰の金具から鍵を外して鍵穴に挿す。
90度、横にひねるとカチリと音がした。
「すまんな。許せ」
イイ笑顔ですね……。
呆れながら、次こそはとドアノブに手をかける。
この先には何があるんだろうか?
登録用の場所?
秘密の秘密と言われるくらいなら、豪勢な儀式の場があるのかもしれない。
様々な紋章や魔方陣、不思議な宝石だってあるかもしれない。
期待に打ち震える胸を押さえながら、そっとドアノブを引いた。
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