光の国の城

19/19
前へ
/74ページ
次へ
「…っ!」 やっと危機感を覚えて後退りながら身構える。身構えるといってもヒューマン自身に戦う術があるわけじゃない。ただ意味も無く全身を強張らせただけだ。 「逃げられると思うなよ。 これでも俺様は光の国で最強を誇るフェニックス。戦い方も知らないお前に勝てる相手じゃない。 安心しろ。すぐに終わらせてやる」 剣を持たない左手をヒューマンに向ける。 バンッ!! 衝撃波が放たれ、ヒューマンの体が吹き飛ばされた。 ガシャアンッ! 背中がぶつかった何かが割れる。感覚としては薄いガラスだ。 「生まれ変わって出直してこい」 フェニックスが剣を振り上げる。 思わず、ガラスケースから倒れるように落ちてきた棒状のものを掴んで、 キィンッ 赤い刃を受け止めた。 「!」 「何これ…」 フェニックスが驚いて飛び退る。 同じく驚いたヒューマンはふらふらと立ち上がってそれを見た。 黒い柄と刀身、橙色のラインが走る剣。 初めて見るその剣は、不思議と手に馴染んだ。 「黄昏の剣、トワイライト」 フェニックスが剣を下ろして言う。 「黄昏の剣…トワイライト?」 「選ばれし者だけが扱える魔力を秘めた剣だ。 まさかお前が……」 フェニックスが剣を鞘に戻しながら困ったように笑った。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加