闇の国

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荒れた平原の奥、黒い霧の先、 闇より深い色をした巨大な城。……の、付近。 「あーー、暇だな」 紅いウェーブがかったセミロングの髪の男が荒れた道を歩く。白いワイシャツを六分袖に折り曲げて、黒のスラックスでまとめられている。 「ひーまーだーなー」 そして、前を歩く女に呼び掛けた。 「うるさいわよ」 「何だよツレないな。 デートくらい楽しく行こうぜ」 「デートじゃない。馬鹿じゃないの」 胸を強調した上でのへそ出しノースリーブ。すらりとした美脚に紺のヒール。全身ジーンズ生地だが所々のピンクのリボンが可愛らしい。 「何?自分より弱い男は嫌い?」 「もちろん」 「俺とたかだか1位差じゃん」 「でも上の1位差と下の1位差じゃ 3位も違う。 一緒にするんじゃないわよ」 「それは残念」 にやにやと笑う男に裏拳でも喰らわせてやろうかと考える。
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