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「待ってよ、ラミア~」
「うるさい!」
少し足を引きずりながら涙目で追ってくるインキュバスを一喝して先を行く。
やっぱりこいつのことは嫌いだ!
「ラミア、ストップストップ」
まだ何か用があるのかしら?
ほんの5分でいいから黙ってほしい。
「おい!待てって!」
インキュバスがラミアの肩を掴む。
「何よ…っ!」
「……何かヤバそう」
紅い瞳が辺りを見回す。
それに、はっとして周りの様子を探った。
「(――何かいる)」
闇の国と言うだけあって、元々暗い空気の流れる国ではあるが、時たま、そんな空気より暗い気配がある。
それが、殺気だ。
「……面倒ね」
「確かに。ざっと何体?」
「大体……25前後よ」
背中合わせに立つインキュバスが普段どこに隠し持っているのか分からない銃を2挺握る。淡い銀の光を放つ銃は弾切れを知らない特殊なものだ。
彼曰く、「俺が死なない限り弾切れは有り得ない」。
どうやら実弾を使っているわけではなく、彼の能力を弾にして撃ち出しているようだ。
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