闇の国

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さて、さっきから「敵」と言っているが、決して奴等は光の国の存在ではない。というか、闇の国の存在だ。平たく言うと一応「仲間」である。 なぜ仲間が闇の国上位の俺とラミアを殺そうとするかというと、 「下剋上……ねえ」 手柄を狙ってのことだ。 ランキング制の闇の国は、強ければ上位になり手柄を立てれば順位が上がる。 手柄も、倒した相手が自分より上位であればその上がり幅は広がるのだ。 だから2位3位の俺達はよく狙われる。 いっそのこと1位のサンダーバードを狙えよと思うのだが、何故か王は狙われない。理不尽だ。 「♪!」 口笛がインキュバスを呼ぶ。 旋律の中の一音を強く吹いただけなのだが、インキュバスにはそれが呼んだ声に聞こえる。 「♪――♪♪―♪―…」 もう一度言うが、これは曲の一部であり会話するための方法ではない。 曲の旋律にも会話になるような意味合いは無い。 「♪♪…♪――♪―…」 ただし。 「うん、了解。 ちょっと俺……本気出すぜ?」 心を読むインキュバスは、ラミアが今何を考えていて何をしたいのかが分かる。 “早く済ませて”。
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