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丘を下って
ほんの2~3分走ると
広い湖が見えた。
湖面がきらきらと輝いている。
感動しながら
湖にホースを突っ込むと
自動的に水を吸い込み始めた。
少しばかり休憩しようと
湖の淵に座る。
風に吹かれて息をついた瞬間、
傍にあったホースを
誰かの手が掴んだ。
「!?」
湖の中から手が延びている。
えっ、何これ怖い。
「オレ達の湖から水を盗むのは
どこのどいつだ?」
ざばっ、と水の中から
手の持ち主が姿を現した。
「ん?新顔か?」
水色の肩までの髪を持つ
瞳の大きな少年。
上半身裸はどうかと思うけど。
「そっかそっか。
新顔ならしょうがねえよな。
初めまして。
オレ、ネレイド。
まぁこの湖の王様ってトコかな?
よろしく!」
彼が飛び上がると
一瞬だが下半身まで見えた。
両足はあるものの
水色のウロコに包まれている。
魚っぽい……。
「初めまして、ヒューマンです。
あの、今、家の掃除してて
水を借りたいんだけど、
駄目かな……?」
相変わらずホースを掴んだ手を見る。
今頃、家では
「水出ない!」と騒いでいそうだ。
「今、掃除中なのか?」
「うん。新しく住むから」
「なるほど……」
むーん、と水に沈んで悩む。
名案と言ったように
再び上半身を水から出した。
「オレが手伝いに行ってやるよ!」
「……え?」
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