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思いがけない提案に首を傾げる。
「水がいるんだろ?
オレ、水属性だしさ、
水辺から離れても出せるし」
「嬉しいけど、
湖の外に出ても大丈夫なの?」
「クラウンジョーカーあるから」
「あ、そっか」
よっこいしょ、と
湖から這い上がる。
手にはいつの間にか
クラウンジョーカーのネックレスが
握られていた。
「ウロコすごいね」
きらきらと光を反射する。
「でも泳ぐの苦手ー」
「えっ?」
「えっ?」
「……苦手なの?」
「イルカとかに負けるけど」
「…………」
「その目やめて!」
涙目のネレイドが
クラウンジョーカーを握りしめる。
強い光を放って、
やっとまともに服を着た
二足型のネレイドが現れた。
「さっきの地の文、撤回しろよ。
“やっとまともに服を着た”とか
オレは露出狂か」
「みたいなものじゃないんですか?」
「初対面相手に向かって
よく言えたな!」
キーキーと文句を言う
ネレイドが立ち上がった。
「……生まれたての小鹿みたいだよ」
「立つの久々なんだよ!」
ふらふらと歩くネレイドを追って
家への道を歩き出した。
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