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結局ロープが見つからなかったので、再びフェアリーが近所の幻獣に借りに行くことになった。
ドラゴンは一度登った以上降りるのは嫌らしく、そのまま木の上でカーテンを抱えて待機している。
まぁいい、自分の作業を続行しよう。相変わらずマシンガントークのフェニックスは無視する。
あっ、ヨルムンガンドに蹴られた。痛そう…。
******
「…、ふー」
だいぶ綺麗になったかな。
バケツの水で雑巾をゆすぐと水が黒く濁った。
随分埃が積もっていたし、当たり前か。
ふわっと風が吹くと一瞬視界が暗くなった。
「?」
顔を上に向ける。
そこでは広げられたカーテンが風を受けて膨らんでいた。
船の帆のようだ。
いつの間にかフェアリーがロープを持って戻ってきていたらしい。
木からドラゴンが飛び降り、その横をフェアリーが舞い降りた。
「ふぃーっ、やっと降りれたぜ」
「お疲れー!
あっ、ヒューマン終わった?」
「うん。大体は」
「そっか!
向こうも終わったかなぁ?」
フェアリーが跳び跳ねてフェニックス達の方へ飛んでいく。
デッキブラシを使って家から水を掻き出しているところを見る限り、どうやら一段落ついたようだ。
またフェニックスが何かやらかしたらしい、ヨルムンガンドが彼を蹴飛ばしている。
それに巻き込まれないように逃げてきたネレイドが「今は近付くな!」とフェアリーを制していた。必死だ。
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