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「とっ、突然大きな声出すなよな!ビックリするだろ!」
「え、こっちのセリフなんですけど…。
……あの、誰ですか?」
ドラゴンよりも暗い赤色の短髪に同じ色の瞳。
白を基調にしたイスラム風の衣装には赤いラインと金の装飾がよく映える。頭に巻かれたものも同じようなデザインだ。
「へえ、オレを知らないんだ。そういう奴久し振りに見た。
オレはパーン。初めまして」
「……ヒューマン、です」
戸惑いつつ握手に応じるとパーンがニコッと笑った。
「ヒューマン、どうした?迷子?」
「えっ。……まぁ、はい。友人とはぐれました」
少し馴れ馴れしいなと思いながら、助けてくれるのであれば素直に助けてもらおう。
何せ僕はこの世界で何も知らない、右も左も分からないような初心者なのだから。
「友人か、誰?」
「フェアリーとドラゴンです」
「そっか。じゃあ一緒に探そう?」
「いいんですか?」
「もちろん!
困ってる子を助けるのがオレの喜び!」
そう笑う彼が何気なく人混みに問い掛けた。
「『フェアリーとドラゴンってどこかで見た?』」
その声に反応した人混みが一斉に同じ方向を指差す。そしてモーセの十戒のように人混みが割れた。
「ありがとう!
行こう、ヒューマン」
「えっ…えっ…!?」
どんな魔法ですか!
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