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パーンに連れられ割れた人混みを進む。
背後では何も無かったかのように人々がばらばらと歩き出していた。
どういうことだ?
「パーンさん」
「ん?」
「今の…魔法?は何ですか?」
「ああ、これ?
魔法ってわけじゃないんだけど……」
照れ笑いをするパーンが困ったように頭を掻く。どう説明しようか悩んで、ぶつぶつと言葉を選んでいた。
「うーん…、魔法じゃないけど、魔法なのかな?
『言霊』って分かる?」
「ことだま?」
言葉に宿る力、だっただろうか。
「そう。普通言霊は小難しい古語を使うんだけど。『汝』とか『~せよ』とかね。
オレのやつはもう少し簡単にした感じ。気軽に使える…『現代版言霊』だな!」
「現代版…!」
言霊に現代版とかあるのか。だったらいつか『そこのアレ、あっち行って』で言霊が発動するんじゃないだろうか。
「意識してないときは言霊は宿らない。
だけど、オレが意識して言葉を発したときは、全てが必ずオレの言った通りに動く」
「便利な能力なんですね」
「便利っちゃあ便利だけど、その物体の名前を理解してないと使えないしなあ。あと体力削られるし」
「へえ……」
便利は便利。だが、万能というわけではなさそうだ。
そうこうしている内に、目の前に見覚えのある赤い髪と、白色のスカートを見つけた。
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