光の国

2/10
前へ
/74ページ
次へ
フェアリーに手を引かれながら森の中を進む。ざくざくと草を踏み締める感覚は嫌いではない。 「もう少しだよ」 そう彼女が言った後、森が開けた。 「うわぁ……っ」 眼下に広がる町を見つめる。 その時、ようやく森が丘の上にあることを知った。 「すごい…。僕、こんな綺麗な景色初めて見た…」 木やレンガで作られた家が建ち並ぶ。カラフルな屋根がある場所は市場か何かだろうか。 滝が落ちる場所からは長い川が延びていて、その川の終わりは木々に隠れて見えない。 国中を包む木々はどれもよく生い茂っていた。家の近くにも点々と立っている。 国の住人達がそこかしこで行動していた。 まるで、理想とする楽園をそのまま実現したようだ。 そして、そんな景色に負けず劣らずの存在感を放つもの。 「あれが、光の国のお城だよ」 フェアリーが指を差す。 白い外壁の巨大な城。 立派な様相に思わず目を見張った。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加