346人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
拓司が、3番目の兄の龍巳と再会してから、1ヶ月経った。
拓司は、龍巳が好きなのだと解ったから、頻繁に会っているかと思いきや…
まったく会っていなかった。
メールなどで、連絡はするけれど拓司は『忙しくて会えない』と言うばかり。
確かに、社長の拓司は忙しかった。
ただし、仕事関係の誰かと会うにしても、なるべく平日にしてもらっていたので、1ヶ月の間、ずっと空かないはずはなかった。
この日も拓司は、会社で声を張り上げていた。
「なんだと!?なぜ、それをすぐに言わない!!?
古城くん。すぐに、あちらへ向かうから、一緒に…」
「はい!!解りました」
拓司と、古城は早足で会社を出る。
拓司、自らの運転で取引先へ。
必死に、取引先の社長と話をする姿。
それは、まさに若き社長、酒巻 拓司が認められる理由だった。
鬼と言われても、その礼儀正しさには、定評があった。
最初のコメントを投稿しよう!