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ルー君は微妙に納得してない感じだが、ロシュ君は「若輩者ですが、お受けします」と即答。 「そうか、受けてくれるか」 「えー、本気かよー」 ルー君が口を尖らせた。 「一人だけならお断りしたかもしれないけど、ルークが副隊長ならオレも安心だし。……駄目か?」 ロシュ君の発言に、ルー君は複雑そうな、嬉しそうな、本当に微妙としか言い様のない顔をした(多分照れたんだろう)。 「……しょーがねーな。隊長殿、俺も受けますー」 「そうか、助かる」 シューさん曰く、漆黒の槍は責任者がシューさんと副隊長のロレンゾさんしかいない……らしい。他の隊は分隊長さんが何人かいるのが普通(人数が多いからだろうけど)だそうだ。特殊だとは聞いていたけど、そこまでとは。 上から言われて責任者を増やしたくても、前述の通りなりたがる人がいない。 「二人共、昇進なんて凄いね!」 「て、言ってもうちの隊じゃ肩書きだけだろうと思いますけどねー。あの人らが素直に従うのは隊長殿だけだし、多分俺らは下っ端のまんまですよ」 「それどころか、弄り倒されそうだ」 「まあ、そう言うな」 二人とシューさんは苦笑。 「肩書きだけではなく、ちゃんとした昇進だし、少々だが給料は上がるぞ。それと、雑用からの解放。私の補佐が主な仕事になる」 「え、本当に給料上がるんですか!?」と、ルー君。 「隊長殿の補佐ですか!?」と、ロシュ君。 ロシュ君とルー君では、食い付く場所が面白いくらい違っていた。 「多分だが、給料の話をすれば誰かしら釣れたとは思う。しかし、それでは意味がない。わかるだろう?」 世間話のように話を振られたら、本気の人事とは思わないのかもしれないし、漆黒の槍ではどうなってるか知らないが、昇進なんて肩書き程度との認識があるのかもしれない。 シューさんがしょっちゅう、問題児とか変わり者が多いって言ってるし。 「つーか、隊長殿の補佐って、かなりの重労働ですよねー?」 どのくらい上がるの? みたいなジェスチャーをルー君がする。 「心配するな、――くらいだ」 「……おー、それなら、まあ……」 「そういうこと、聞くなよ」 ロシュ君が咎めた。
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