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「それは何か? 今すぐにレイナとそういうことがしたいと言ってるのか、お前は 」 「い、いえ、そういう訳では……あ、そうか、子供って……」 ロシュ君はそこで顔を更に赤くした。 「ち、違います! そういう意味で言ったんじゃなくて、その、あの……」 可哀想なくらい狼狽えているロシュ君は、多分、変なとこで天然を発揮して、別々に考えてしまったんだと思う。 あれとそれとは切り離せないんだよ、ロシュ君。 「……全く、いつまでもそんなだと、分隊長に昇進させるのも考えものか?」 「え?」 全員揃ってシューさんの顔をまじまじと見てしまった。 シューさんはいつもの澄まし顔で、さらっと続けた。 「私が行けないのだから、責任者が必要だろう。平の騎士では姫の警護役として見劣りがするしな」 「ということは、一時的なものですね?」 ロシュ君の問いに、シューさんが首を振る。 「いや、前々から考えていたことだ。あと、ヤシュカは副隊長だ」 「ほえ? 俺も昇進?」 良かったなーとロシュ君の肩を叩いたルー君は、不思議そうに自分を指差した。 「お前を上に据えることも考えたが、どちらかと言えば、参謀向きだしな」 「ですが、先輩方を差し置いて……」 ロシュ君が困惑気味に返すと、シューさんはちょっと溜め息をついた。 「……あいつらのことは気にしなくていい。一応打診はしたが、『責任が発生するから嫌だ』とか、『それなら辞めて傭兵稼業に戻ります』とか、『実力もあるんだから、ヤシュカかスタットでいいじゃないか』と言われてな。確かにそうかもしれんと私も思った」 「えー、皆が拒否ったから俺らにお鉢が回ってきたんですか?」 「……うちの隊は変わり者が多くて困る」 さりげにシューさんは、ルー君の疑問に対し否定しなかった。
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