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「……残念ですわ。非常に残念ですわ……」 朝九刻、別邸に来てから開口一番にエイダさんが呟いた台詞。大事なことだから二回言いましたのノリである。おまけに、『非常に』の部分をかなり強調。 どうやら調整がつかなかったようだ。エイダさんは副導士長なんだから、しょうがない。とは言え、私も残念。 「……七日後には私も参りますので、それまでは……」 きゃぴっ☆という擬音が似合いそうな雰囲気で登場したのは、 かなり長身の人だった。ルー君より少し低いくらいかな。 因みに人間形態で、どっちかと言うと可愛い系に入る感じ。体型はひょろっとしていると言うより、華奢。金髪のベリーショートで両耳にリングのピアスをしている。 「アタシが副導士長の代わりをさせて頂きます、ミカエラ・アクエリア、二十六歳でーす。よろしく☆」 あれ? 声、何か低い……って、この人、女の人じゃないような……。 「性別は見た目通りだけど、心は乙女だからねー」 見た目通りオネエの人なのか。なるほど納得。 「実力や性格、レイナ様に人畜無害との点を考慮した結果、ミカエラが最適との結論に辿り着きましたのよ。フォードック卿の許可も下りてますし、問題はないかと」 そんでもって、魔導士らしい。私が今までに会ったことのないタイプの人だ。 「あらやだ、お姫様って偏見のある人?」 ミカエラさんが軽く眉を寄せた。うっかりじろじろ見てたのかもしれない、失礼なことしちゃったかな。 「初めまして、マリアレイナ・ラル・ロシュナンドです。ミカエラさんのこと、まだよく知らないから。仲良くして下さい」 「そんな堅い呼び方しないで、ミカちゃんて呼んでもいいわよ」 様になるウィンクをされたので、遠慮なく。 「じゃあミカちゃんで。私もレイナでいいよ」 「……まさか本当に呼ぶとは思わなかったわ……」 「え、駄目だったの?」 「そうじゃないのよ、副導士長の言ってた通りのお姫様なのね、レイナちゃんて」 ミカちゃんがフレンドリーな笑みを浮かべる。 エイダさん、私のことをどう言ったのだろう。
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