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「アタシねえ、過度の美人は『性格破綻者』が持論なの。大抵高飛車だったり、人には言えない性癖があったりとか。でも、レイナちゃんは合格よ!」
可愛い! と叫んで、ミカちゃんが私を思いっきりハグした。
甘いフローラル系の香り。この瞬間、私はミカちゃんを女の人としか思えなくなった。
いや、女の人みたいな容姿とかじゃなくて、中身やら身嗜みやら。なんて言うか、感覚的に。説明が難しいな、要は直感かな?
おまけに華奢だし、見掛けが性別と反してる人はセラフさんで慣れてたし。
でも、そうじゃない人もいる訳で。
ドサッという音がしたので振り返ったら、ロシュ君が固まってた。
「……レイナ」
「あ、ロシュ君、おはよ」
よく考えなくても、これは誤解される構図だと挨拶の途中で気がついた(遅)。
「……レイナちゃん、あれ、誰?」
「私の婚約者のロシュ君」
「へー、……良かった、趣味が被ってなくて」
ミカちゃんが呟く。それは、あれですか、男性の好みがということでしょうか。
「……エイダ殿、この方は?」
ロシュ君が硬い声で尋ねる。
「あ、初めましてー。アタシ、ミカエラ・アクエリアよ、よろしくね」
「………………よろしく?」
ミカちゃんの喋り口調に疑問を感じたらしい。ロシュ君は、不信感そっちのけで、困惑した視線をエイダさんへ向けた。
「スタット様、ミカエラは大丈夫ですわよ」
苦笑するエイダさんに追随するように、ミカちゃんが口を開いた。
「初めましての人に言うことじゃないけどー、アタシ、恋愛対象は女じゃないから。安心して頂戴な」
「……そ、そうですか」
あ、動揺してる。
「ミカちゃんが一緒に来てくれるんだって。心強いね」
「ああ、うん……、ミカちゃん……」
ロシュ君には未知との遭遇だったようだ。まだ混乱中。
「えーっと、改めて紹介するね。私の婚約者のロシュ・スタット。ロシュ君、ミカちゃんは魔導士なんだって」
「副導士長には敵わないけど、なかなかのもんなのよ?」
「当たり前ですわ。伊達で副導士長なんか務まりませんのよ」
エイダさんにチクリとやられて、ミカちゃんてへぺろ。何か可愛いなこのお兄(お姉?)さん。
「ところで、ルー君は?」
「ルークは……もう少ししたら、来る、と思います」
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