心の隙間

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あれから約14年の月日が経って、 俺はいつも友達に囲まれて生きている。 昔のことなんて今となっては過去の思い出。 そして俺は今、過去とは全く違う人生を生きている。 そう、今この瞬間も。 「福永さんて、昔からそんなんなんですか?」 「…え?」 「昔からそんな感じなんですか?(笑)」 「ははっ!」 俺は笑ってごまかした。 "そんな感じ"というのは彼、将吾くんからすれば 多分俺がものすごくおっちょこちょいだからなのだろう。 俺はこの時この仕事場で、 『頑張り屋だけどおっちょこちょいで脳天気な奴』 という印象だったのだと思う。 別にそれは間違いではないが、裏を返せば、 将吾くんは『29年間もよくそんなノホホンと生きてこれたな』と言いたかったのかもしれない(笑) 「ホント、福永さんみてると飽きませんなぁ(笑)」 「はいはい(笑) いいから将吾くんも早くこっち手伝ってくださいよ!!」 「はははっ!! 怒っててもいい笑顔しますなぁ(笑)」 「口動かすより手を動かしてくださいよっ!!(笑)」 「あはは! また怒られちゃった(笑)」 「アハハハハっ!!」 俺と将吾くんのやり取りをみて周りのみんなが大爆笑しだした。 俺からみて将吾くんは、いつも笑ってるけど その瞳に輝きを感じられなかった。 彼の瞳の奥には一体が何があるだろう…。 「ホンマ、福永さんはポカポカしとって お日様のような人ですなぁ。」 「ははっ!!お日様て(笑)」 俺がもし太陽ならば、 彼の瞳に僅かでも陽の光をあてられるだろうか---? 「福永さんは楽しそうに仕事しますなぁ(笑)」 「ま、やりたくてやってる仕事ですからね(笑)」 「いいっすねぇ。 俺はやりたい事がないのですわぁ…。」 あぁ… やっぱりね。 将吾くんは今どうゆう気持ちで仕事をしているのだろうか…? 「……。」 そんな彼の心の隙間が覗きたくて、 俺の心は動き出していた---。
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