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俺は詩織ちゃんに、今日のところはホテルかマンガ喫茶にでも泊まるように話をした。
「大丈夫?今お金はある?
ないなら俺出すし、今から渡しに行こうか?」
「……。
…大丈夫です。
お金ならありますから…。
……大丈夫です。」
「そっか…。
じゃあ気をつけてね。
なるべく早めにどこか入ってね?
じゃあ、また何かあったら連絡してよ?」
別に分かっていたさ。
中学生に1人でホテルに泊まれとか、
そんなこと彼女が実行するわけがないなんて。
分かっていたのに突き放したんだ。
自分の生活リズムを乱されたくなかったから。
この日は単純にクラブに行きたかったしさ。
俺は彼女に一応提案したし、
行かなかったら彼女本人の判断だ。
それにもしかしたら彼と連絡がついて、彼の実家に泊まれるかもしれない---。
だからきっと大丈夫。
俺には非はないし、関係ない。
ずっとそう言いきかせながら、俺はケンジとクラブで夜通し遊んでいた。
その夜、まさか彼女が再び"愛人役"になるなんて、俺は知る由もなかったんだ---。
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