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目黒の居酒屋に着き、ブルさんに将吾くんの紹介を軽くした後
ブルさんは早速本題に入った…。
「でもブルさん、大丈夫なんですか?
事務所を作ってギャラを下げるなんて…
周りから非難されませんかね?」
今日ここに飲みに来たのはブルさんから誘いで、
俺とブルさんは会うとこうやって必ず仕事の近況を話し合う。
今日はそんなこともあって将吾くんも試しに呼んでみたけれど…。
いつも冷静なブルさんが興奮気味なところを見ると、俺はいつになく不安が募る…。
「大丈夫だ。もう周りなんて気にしてらんねぇっ!!
結局仕事なんて奪い合いの競争だ!!
だから俺は勝負にでるっ!!
で、将吾だっけ?
お前もフクと一緒に俺と会社を作っていく気はないか?
今のまま一生そこでバイトしてくワケじゃないんだろ?
でも技術面はどうか知らねぇから、
今すぐ仕事を与えられるかは実際働きをみてみないと分からないけどな!!」
ブルさんが突然会社を立ち上げるだなんて言い出したのは、
間違いなく震災も影響している…。
フリーで仕事をするブルさんは、仕事のギャラは高いし高収入だけど
最近仕事が減りつつある上、震災によって更に激減してしまったからだ…。
つまり、震災の影響ということは仕事もまだこの先復旧する見込みもあるはずだ。
だけど、ブルさんの仕事に対する不安や焦りは伝わってくる…。
でもだからこそ、逆に今、ブルさんは冷静ではない…っ。
俺は今日将吾くんを連れてきたのは失敗だったかもしれない……。
「俺は正直、今の会社で一生働く気はありませんし、
ブルさんとお仕事をして今より給料がいいならば、俺は全然付いていくんで構いません。
ただ今回ブルさんを紹介して頂いたのは福永さんのおかげですんで
俺は最終的には福永さんの意見に合わせるつもりです。」
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