クレシェンド

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ヒトの記憶なんて所詮曖昧なものだ。 特に興味がないものに対しては記憶は薄れやすい。 学校にそれほど興味がなかった真央も 学校しかないけど、学校に忘れたい記憶しか残っていない俺も 学校にさほど愛着はないという共通点がある。 しかしながら2人とも似ているようでだいぶ違う。 真央は、学校の他に心動かすものがあったから記憶が薄いのだ。 俺には何もなかったから、学校の思い出しかないのに、 それさえも忘れたくて記憶から抹消しようとするのだ。 「高校卒業から10年も経てばそりゃだいぶ変わるし、 覚えてない人もいるだろうなぁ。」 「そだね。とりあえず私が来たことにびっくりだったみたいだよw」 「お前もマルくなったってことだな(笑)」 真央も久美ちゃんも当時荒れていたし、 かなり高圧的な態度をとっていたらしく 同級生からも"さん"付けされたり、敬語を遣われたりもしていたらしい。 「当時の自分が恥ずかし~っw」 「見た目ギャルでも中身はただのヤンキーだな(笑)」 「もう恥ずかしくて思い出したくないし~w」 そう恥ずかしがる真央が少し羨ましくもある。 当時地味だった自分には、 真央みたいな人と普通に話すことさえままならないほど奥手だった。 「そういえば俺も年末に中学時代の同窓会行ったよ。」 「どうだった?」 「なんか疲れてていつの間にか寝ちゃってさぁ いつの間にか顔に落書きされてた(笑)」
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