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当時、同じバイト先で同じ16歳だった美咲ちゃんは
とても可愛くて大人っぽくて、
その頃はギャル服もサーフ系が流行していたから
美咲ちゃんはこの日可愛いROXYのTシャツを着て、バイトに出勤してきた。
「……。
どうなんだろ…?私は分かんないな…。」
「なんかね、こないだ美咲の友達が遊びに来たらね
玉木さんの事『かっこいいっ!!』って目ぇつけてたから
いないなら紹介できないかなぁと思って♪」
「そう…なんだ…。」
"玉木さん"というのが私の彼氏だったけど、
この時私には、そんな事言い出す勇気もなくて…
「玉木さんに直接聞いてみよっかなぁ~♪」
私はテキトーな愛想笑いでごまかしながら
心の中で動揺していた。
「玉木さん、
この前美咲ちゃんが私にね
玉木さんに彼女がいるのか聞いてきたんだけどね…」
「え?ミサキって藤崎さんのこと?」
「…うん。」
「で、
ちゃんと『いる』って言った?」
「…ううん。
なんかタイミング失っちゃって…
言えなかったんです……。」
私は彼より年下だから時に敬語まじりで会話して
彼もまた、バイト先では私より後輩だから
敬語まじりで会話をしていた。
「も~っ!!
ちゃんと『いる』って自分で言わなきゃダメじゃないのっ!!」
敬語まじりで不器用な2人。
そんな2人の曖昧な関係が、私にはとても新鮮だったのだ。
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