第一楽章:翼のざわめき

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空を見ているのにも飽き、テレビを点けた。 時間もあってか目を引くテレビ番組はない。 幾つかチャンネルを切り替えたあとテレビの電源を落とした。 そしてまた空を眺める。 しばらくしてまたテレビを点ける。 別段、テンションが低い訳ではない。 ただ暇なのだ。そして暇が苦痛。もともと僕は暇を苦なんて思わず、むしろ楽しむものとしていた。 しかしそれは暇と呼ぶべきもので無かったからかもしれない。 僕は今本当の暇というものを思い知らされた気分だった。 ああ、本当に、やることがない。 テレビの音量を下げ今度はバタンとベッドに倒れた。 それから、ゴロゴロ回って「ニャー」 後に残るのは自己嫌悪。 ……ホント、自己嫌悪。 「あーあ、なにやってんだろうなオレ」 手術後、一週間たってからの病室はずいぶんひっそりとしていた。 自ずと孤独を感じてしまう。 病室が騒がしかったのは初めだけだった。
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